備忘録として臨床研究について学んだことを記します
今回は臨床研究における交絡因子が比較に及ぼす影響について解説致します
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【復習】交絡因子とは何か?
例えば、現実の介入研究においては
● 治療法によるアウトカムの起こしやすさ=治療法の効果
● 集団がもともと持っているアウトカムの起こしやすさ
これらが混ざった状態で測定されます。
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集団がもともと持っているアウトカムの起こしやすさを生み出している要因を「第3の因子」と呼ぶことは以前にも解説致しました(詳しくはコチラの記事をご覧ください)。
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第3の因子のうち以下の条件を満たすものを特に交絡因子と呼びます。
● アウトカムの起こしやすさに影響を与える
● 2つの集団を比較するときに一方の集団だけに偏って存在する
● 要因(または介入)の結果生じるもの(中間因子)ではない
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交絡因子が存在すると、比較の質を大きく低下させてしまいます。
つまり、私たちの臨床研究の妨げとなりえます。
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交絡因子が比較に及ぼす影響
臨床研究では必ずと言って良いほど、研究者が注目している要因・治療法によるアウトカムの起こしやすさを測定する際に、その要因・治療法以外の因子によるアウトカムの起こしやすさが交絡してしまいます。
要因・治療法以外のアウトカムの起こしやすさに影響を与える因子が、2つの集団のうちの一方に偏って存在した場合は、つまりは交絡因子が存在することで比較にどのような影響が出るでしょうか?
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例えば、高血圧の人に対する降圧剤Aと降圧剤Bの効果の差を比較する研究をしたとします。
このとき2つの集団にそれぞれの降圧剤を投与してどれだけ血圧が低下したかを比較する訳ですが、一方の集団には降圧剤を飲み始めたことをきっかけに運動を習慣的に始めた被験者が多く集まり、もう一方の集団には自宅で引き籠っている被験者が多く集まったとします。
適度な運動は高血圧の人には血圧を低下させる効果があることが知られています。
つまり、運動を習慣的に始めた被験者が集まった集団では、「降圧剤 + 運動」による血圧低下の効果が測定されてしまう訳です。
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仮に血圧を低下させる効果において、降圧剤Aが降圧剤Bより10㎜Hgだけ効果が高かったとしましょう。
これに加えて、仮に運動習慣があると運動習慣がない場合と比べて、血圧を低下させる効果が10㎜Hgあったとします。
降圧剤Aを投与された集団に運動を開始した被験者が多く集まった場合、結果として血圧を低下させる効果の差は
● 降圧剤Aによる効果10㎜Hg + 運動の効果10㎜Hg =20㎜Hg
となり、この場合は、降圧剤Aの効果の真の値が10㎜Hgなのに過大評価されることになります。
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逆に、降圧剤Bを投与された集団に運動を開始した被験者が多く集まった場合、結果として血圧を低下させる効果の差は
● 降圧剤Aによる効果10㎜Hg – 降圧剤Bを投与された集団の運動の効果10㎜Hg = 0㎜Hg
となり、この場合は降圧剤Aの効果の真の値が10㎜Hgなのに過小評価されることになります。
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効果の差が過大評価されるにしても過小評価されるにしても
交絡因子の存在が比較の質を低下させてしまうのですね♪
よって臨床研究ではいかに交絡因子を存在させないかという工夫が
とても重要になる訳です
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最後に
今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います
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ありがとうございました!!
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