交絡の予防法~限定編

臨床研究への道程

備忘録として臨床研究について学んだことを記します

今回は臨床研究における交絡の予防法の1つである限定について解説致します

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【復習】交絡とは?

集団がもともと持っているアウトカムの起こしやすさを生み出している要因を「第3の因子」と呼びます。

第3の因子のうち以下の条件を満たすものを特に交絡因子と呼びます。

アウトカムの起こしやすさに影響を与える

2つの集団を比較するときに一方の集団だけに偏って存在する

要因(または介入)の結果生じるもの(中間因子)ではない

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交絡因子が存在すると、比較の質を大きく低下させてしまいます。

つまり、私たちの臨床研究の妨げとなりえます。

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「第3の因子」について学び直したい方はコチラの記事をご覧ください

交絡の定義について学び直したい方はコチラの記事をご覧ください

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交絡の予防法

交絡以外のバイアスを予防する場合は、研究デザインによって特に注意すべきバイアスが異なるため研究デザイン別に予防法を理解する必要がありました。

一方、交絡についてはどの研究デザインにおいても予防法は共通していますので、研究デザインに関わらずこれから紹介する方法で対策します。

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交絡の予防法には

限定

ランダム化(無作為化)

傾向スコアによるマッチング

以上の3つがあります。

今回はこのうちの限定について見てみましょ~♪

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限定

限定とは、データを取る前に研究対象者の取り込み基準の設定によって交絡を予防する方法の1つです。

例えば以下のように限定して研究することがあります。

脳卒中患者の歩行能力の治療成績について介入研究する際に、取り込み基準に「病前ADL自立」「初発脳卒中患者」などの基準を設ける

→一方の群に「病前から低ADLだった者」「脳卒中を繰り返している者」などが偏って分布することで、検証する治療方法以外の因子による影響を一方の群だけが受ける可能性を排除する

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このように限定という方法を用いることで、ある因子が

「2つの集団を比較するときに一方の集団だけに偏って存在する」

という条件を満たさなくなるので、その因子を交絡でないものにできます。

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皆さんの中には、取り込み基準を限定することで、研究の結果の一般化可能性(どのような場合にも同様の結果が当てはまるか否か)が損なわれると考える方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、例に挙げた研究の結果は、「病前ADL要介助だった者」「脳卒中を2回以上発症している者」にまで当てはまるか否かは不明です。

だからと言って、交絡を無視して得られた研究結果はそもそも真の値から乖離している可能性が高いため、どのような集団に対しても当てはまらない結果となってしまうのです。

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例え限定された集団に対する結果しか得られなかったとしても、
それが妥当な結果であれば臨床における素朴な疑問の解決に一歩前進したと言える訳ですね♪

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最後に

今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います

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ありがとうございました!!

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