交絡以外のバイアスの予防法~ランダム化比較試験編

臨床研究への道程

備忘録として臨床研究について学んだことを記します

今回はランダム化比較試験(RCT)における交絡以外のバイアスの予防法について解説致します

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ランダム化比較試験で特に注意が必要な交絡以外のバイアス

ランダム化比較試験で特に注意が必要な交絡以外のバイアスは以下のものがあります。

biased follow-up(ランダムでない脱落・バイアスのかかった症例追跡)

observer bias(観察者バイアス・測定者バイアス)

これらは、ランダム化比較試験において比較の質を低下させる代表的な交絡以外のバイアスです。

これらの予防法について解説致します。

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あれ?RCTでは対象者をランダムに割り付けるから
バイアスが生じないと聞いたことがあるけど予防が必要なの?

それは誤解でRCTでもバイアスは生じるので予防が必要です

RCTでランダムに対象者を割り付けるのは、理論上、交絡因子(未知の交絡因子も含め)を両群に均等に分布させることで交絡を防ぐ方法です。

交絡以外のバイアスを防ぐにはランダムな割り付けだけでは不十分なので、しっかりと対策をしましょう。

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biased follow-up(ランダムでない脱落・バイアスのかかった症例追跡)の予防法

ランダム化比較試験では研究参加者をランダムに介入群と対象群に割り付けた上で一定期間、介入群には治療法Aを行い、対象群には治療法Bを行って、それぞれの群でアウトカムの発生の有無を確認します。

その間に何らかの都合で一部の研究参加者において追跡ができなくなる「脱落(drop out)」が起こりえます。

このとき、理想的には介入群か対象群かを問わず均等に脱落が起こると良いのですが、現実的には一方の群に脱落が偏ることがあります。

一方の群に偏って脱落が起きてしまうと、研究で得られる値は真の値から乖離したものとなってしまいます。このようなバイアスをbiased follow-up(ランダムでない脱落・バイアスのかかった症例追跡)と言います。

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biased follow-up を防ぐ最善の方法はフォローアップ率を上げることです。

例えば、研究参加者に定期的に調査に協力してもらうために定期的に連絡・リマインドをする。研究参加者が予定通り調査できなかった場合に備えて連絡先を聴取しておくなどです。

これらは、研究計画書作成段階で明記するのが良いでしょう。

この予防方法はコホート研究における biased follow-up と同様ですね♪

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observer bias(観察者バイアス・測定者バイアス)の予防法

observer bias とは、研究者(観察者)が期待した結果を得たいがために、期待した結果以外の結果を見過ごしてしまう、いかなる結果も無理矢理自身の期待する結果に合わせて理論付ける、臨床的には無意味な結果でもいかにも意味があるかのように研究者に都合良く解釈する、という現象です。

介入研究において研究者自身がアウトカムを測定する場合、このようなバイアスが生じやすくなります。

何故そのようになりやすいかというと、介入研究を行うということは研究者自身はその治療法・予防法が効果的であると考えており、研究を通じて治療法・予防法がいかに効果的かということを示そうという気持ちが働いてしまうからです。

臨床研究の比較においては得られた効果を比較するだけであって
自身の見解を差し挟んで優劣を決める余地を作ってはいけないということですね♪

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observer bias の予防方法としては、介入の有無をアウトカムの発生の判定に用いれないようにすることがポイントです。

そのためには

測定方法の標準化:介入の有無がアウトカムの発生の判定に用いられないような測定方法に統一する

測定者に対するマスク化(盲検化):介入の有無が分からない状態で測定者がアウトカムの発生を判定するように工夫する

研究に関与しない第三者による測定:研究に無関係の者がアウトカムの発生を判定するように工夫する

このような対策が有効です。

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最後に

今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います

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ありがとうございました!!

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