【解説・神経経路】味覚の伝導路

ニューロリハビリテーション

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味覚の伝導路について知りたいな

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こんな人のための記事です。

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ときとして療法士は脳卒中を始めとした神経に障害を負った方に対して、学習を促すことで生活を支援します。

神経経路に対する理解を深めることは、病態に応じた学習の促し方をより良いものにしてくれることでしょう。

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とは言え、神経経路は多数存在し、その機能や走行を覚えるにも一苦労です。

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恥ずかしながら学生時代の私は錐体路と錐体外路という言葉以外、それ以上の詳細な分類も機能も走行も理解していませんでした

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そんな訳でこの記事は、神経経路の解説として

味覚の伝導路

に関してまとめました。

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特殊感覚とは何か?

味覚の伝導路の解説の前に特殊感覚について確認しましょう

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味覚は感覚の中でも特殊感覚に分類されます。

特殊感覚には以下のものがあります。

視覚

聴覚

前庭覚

味覚

嗅覚

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特殊感覚とは、身体の中で特定の場所にのみ存在する感覚器によって感知される感覚情報のことを指します。

つまり上記の特殊感覚は身体の中で以下の場所に存在する感覚器によってのみ感じることが出来ます。

視覚 … 眼

聴覚 … 耳

前庭覚 … 耳

味覚 … 口腔(舌や軟口蓋)

嗅覚 … 鼻

加えて特殊感覚の感覚器は全て頭部に存在するのも特徴ですね♪

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これに対して体性感覚は身体の様々な場所に感覚器が存在します。

表在覚(触覚や圧覚など) … 皮膚など(皮膚は身体中を覆っている)

深部覚(意識に上らない固有感覚や位置覚など) … 筋・腱・関節包など

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味覚情報は何を感知すると伝わるか?

味覚情報は何を感知すると伝わるかと言うと、それは

化学物質

です。

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舌や軟口蓋に触れた化学物質が刺激となって、

甘味

塩味

酸味

苦味

うま味

などを知ることが可能となります。

つまり「味を知る」ことが可能となります。

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味覚情報が伝わる順番

味覚は受容器の場所によってそれぞれ異なる神経を経由します。

例えば脳幹に進入する神経根は以下の通りです。

舌の前 2/3 の味覚 → 中間神経(第Ⅶ神経 = 顔面神経の一部に含まれる)の根

舌の後ろ 1/3 の味覚 → 舌咽神経(第Ⅸ脳神経)の根

喉頭蓋の味覚 → 迷走神経(第Ⅹ脳神経)の根

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受容器の場所別に味覚の伝導路を示します♪

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舌の前 2/3 の味覚の伝導路

舌の前 2/3 の味覚情報は以下の順番で味覚野(ブロードマン・エリアの43野、頭頂弁蓋)へと伝わります。

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舌の前 2/3 の味蕾中の味蕾細胞(これが味覚の受容器)

…….

鼓索神経(ここから第1次ニューロン)

…….

膝神経節

…….

中間神経の根(顔面神経の一部に含まれる)

…….

橋のレベルから脳幹内へ進入

…….

他の部位(舌の後ろ1/3 + 喉頭蓋)の味蕾由来の神経線維とともに孤束という神経線維の束を形成して脳幹内を下行する

…….

延髄・孤束核の外側部(ここから第2次ニューロン)

…….

内側結合腕傍核(ここから第3次ニューロン)

…….

内側結合腕傍核から出た神経線維の多くは感覚入力があったのとは反対側に交叉して三叉神経毛帯背側路の一部として上行し、残りの一部の線維は感覚入力があったのと同側を三叉神経毛帯背側路の一部として上行する(その後はそれぞれ上行した側の味覚野に至る)

…….

視床後内側腹側核(ventral posteromedial nucleus:VPM)(ここから第4次ニューロン)

…….

味覚野(ブロードマン・エリアの43野、頭頂弁蓋)

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ちなみに視床後内側腹側核からは43野以外にも

11野と3野にも神経線維が連絡しているそうです

11野:臭いの識別

3野:体性感覚(この場合は舌触り)

ということで味覚に関わる他の脳領域にも連絡する訳ですね♪

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舌の後ろ 1/3 の味覚の伝導路

舌の後ろ 1/3 の味覚情報は以下の順番で味覚野(ブロードマン・エリアの43野、頭頂弁蓋)へと伝わります。

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舌の後ろ 1/3 の味蕾中の味蕾細胞(これが味覚の受容器)

…….

舌咽神経(ここから第1次ニューロン)

…….

舌咽神経の下神経節

…….

舌咽神経の根

…….

延髄のレベルから脳幹内へ進入

…….

他の部位(舌の前2/3 + 喉頭蓋)の味蕾由来の神経線維とともに孤束という神経線維の束を形成して脳幹内を下行する

…….

延髄・孤束核の外側部(ここから第2次ニューロン)

…….

内側結合腕傍核(ここから第3次ニューロン)

…….

内側結合腕傍核から出た神経線維の多くは感覚入力があったのとは反対側に交叉して三叉神経毛帯背側路の一部として上行し、残りの一部の線維は感覚入力があったのと同側を三叉神経毛帯背側路の一部として上行する(その後はそれぞれ上行した側の味覚野に至る)

…….

視床後内側腹側核(ventral posteromedial nucleus:VPM)(ここから第4次ニューロン)

…….

味覚野(ブロードマン・エリアの43野、頭頂弁蓋)

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ちなみに視床後内側腹側核からは43野以外にも

11野と3野にも神経線維が連絡しているそうです

11野:臭いの識別

3野:体性感覚(この場合は舌触り)

ということで味覚に関わる他の脳領域にも連絡する訳ですね♪

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喉頭蓋の味覚の伝導路

喉頭蓋の味覚情報は以下の順番で味覚野(ブロードマン・エリアの43野、頭頂弁蓋)へと伝わります。

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喉頭蓋の味蕾中の味蕾細胞(これが味覚の受容器)

…….

迷走神経(ここから第1次ニューロン)

…….

迷走神経の下神経節

…….

迷走神経の根

…….

延髄のレベルから脳幹内へ進入

…….

他の部位(舌の前2/3 + 舌の後ろ1/3)の味蕾由来の神経線維とともに孤束という神経線維の束を形成して脳幹内を下行する

…….

延髄・孤束核の外側部(ここから第2次ニューロン)

…….

内側結合腕傍核(ここから第3次ニューロン)

…….

内側結合腕傍核から出た神経線維の多くは感覚入力があったのとは反対側に交叉して三叉神経毛帯背側路の一部として上行し、残りの一部の線維は感覚入力があったのと同側を三叉神経毛帯背側路の一部として上行する(その後はそれぞれ上行した側の味覚野に至る)

…….

視床後内側腹側核(ventral posteromedial nucleus:VPM)(ここから第4次ニューロン)

…….

味覚野(ブロードマン・エリアの43野、頭頂弁蓋)

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ちなみに視床後内側腹側核からは43野以外にも

11野と3野にも神経線維が連絡しているそうです

11野:臭いの識別

3野:体性感覚(この場合は舌触り)

ということで味覚に関わる他の脳領域にも連絡する訳ですね♪

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【図】味覚の伝導路

図中の番号の解説

① 味覚野(ブロードマン・エリアの43野、頭頂弁蓋)

② 視床後内側腹側核(ventral posteromedial nucleus:VPM)

③ 視床

④ 下丘

⑤ 中脳・内側毛帯

⑥ 内側結合腕傍核

⑦ 延髄・孤束核の外側部

⑧ 中間神経(顔面神経の一部に含まれる)

⑨ 舌咽神経

⑩ 迷走神経

⑪ 膝神経節

⑫ 舌咽神経の下神経節

⑬ 迷走神経の下神経節

⑭ 鼓索神経

⑮ 舌咽神経

⑯ 迷走神経

⑰ 舌の前 2/3

⑱ 舌の後ろ 1/3

⑲ 喉頭蓋

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まとめ

味覚の伝導路に関してまとめました

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味覚は特殊感覚の一つ

味覚情報は化学物質を感知することで伝わる

味覚の受容器である味蕾は舌と喉頭蓋に存在する

味覚は受容器の場所によってそれぞれ異なる神経を経由して脳幹内に進入する

舌の前 2/3 の味覚は中間神経(第Ⅶ神経 = 顔面神経の一部に含まれる)の根から脳幹内に進入する

舌の後ろ 1/3 の味覚は舌咽神経(第Ⅸ脳神経)の根から脳幹内に進入する

喉頭蓋の味覚は迷走神経(第Ⅹ脳神経)の根から脳幹内に進入する

味覚は受容器の場所によってそれぞれ異なる神経を経由して脳幹内に進入した後、孤束という神経線維の束として1つにまとまって孤束核に至り、その後上行する

味覚を伝える神経線維は内側結合腕傍核を出た後に多くは感覚入力されたのと反対側に交叉してそのまま上行して味覚野(43野)に至るが、残りの一部は交叉せず感覚入力されたのと同側を上行して味覚野(43野)に至る

味覚を伝える神経線維は味覚野(43野)以外にも、臭いを識別する領域(11野)や体性感覚野(3野)にも連絡すると言われている

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他の特殊感覚についても今後まとめたいと思います♪

ありがとうございました!!

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