.
三叉神経毛帯背側路の機能や走行が知りたいな
.
こんな人のための記事です。
.
ときとして療法士は脳卒中を始めとした神経に障害を負った方に対して、学習を促すことで生活を支援します。
神経経路に対する理解を深めることは、病態に応じた学習の促し方をより良いものにしてくれることでしょう。
.
とは言え、神経経路は多数存在し、その機能や走行を覚えるにも一苦労です。
.
恥ずかしながら学生時代の私は錐体路と錐体外路という言葉以外、それ以上の詳細な分類も機能も走行も理解していませんでした
.
そんな訳でこの記事は、神経経路の解説として
● 三叉神経毛帯背側路
に関してまとめました。
.
主な体性感覚の経路
三叉神経毛帯背側路の解説の前に主な体性感覚の経路を確認しましょう
.
主要な体性感覚の経路としては以下のものが挙げられます。
● 前脊髄視床路
● 外側脊髄視床路（新脊髄視床路と古脊髄視床路からなる）
● 前脊髄小脳路
● 後脊髄小脳路
● 後索路
● 楔状束核小脳路
● 三叉神経毛帯外側路
● 三叉神経毛帯背側路
● 三叉神経毛帯腹側路
.
神経の経路と言えば他には脳からの運動指令を伝える経路や、自身で実行した運動に関する情報をフィードバックする経路も存在します。
それらの詳細は別の機会に述べたいと思います。
.
三叉神経毛帯背側路の機能
● 三叉神経毛帯背側路は表在感覚（皮膚や粘膜への接触したことで起こる感覚）を大脳皮質まで伝える経路の一つ
● 三叉神経毛帯背側路は頭部の表在感覚を伝える経路
● 表在感覚の中の一つである粗大な触圧覚を伝える（大まかに触れたり圧されたりした感覚は伝えるが、接触した物がツルツルかザラザラか？柔らかいか硬いか？などは分からない）
● 大脳皮質まで感覚情報は伝わるので三叉神経毛帯背側路が伝える粗大な触圧覚は意識に上る
● 三叉神経毛帯背側路の粗大な触圧覚を伝えるという機能（＝役割）は体部における前脊髄視床路に相当する
● 三叉神経毛帯背側路は最終的に感覚入力があったのとは反対側の大脳皮質の一次体性感覚野（＝ブロードマン・エリアの３野・１野・２野、中心後回+極狭い範囲の中心前回）の顔面の領域まで情報を伝える
.
三叉神経毛帯背側路の走行
三叉神経毛帯背側路は以下の順番で大脳皮質の一次体性感覚野（＝ブロードマン・エリアの３野・１野・２野、中心後回+極狭い範囲の中心前回）まで情報を伝えます。
.
● 頭部の表面の皮膚にある偽単極性ニューロンの末梢枝の端末（温痛覚の受容器は第１次ニューロン）
…….↓
● 偽単極性ニューロンの末梢枝
…….↓
● 三叉神経節
…….↓
● 偽単極性ニューロンの中枢枝
…….↓
● 三叉神経知覚根
…….↓
● 橋の内部に入ると直ちに下行（この下行路を三叉神経脊髄路と呼ぶ）
…….↓
● 延髄下部・三叉神経脊髄路核に接続（ここから２次ニューロンで厳密にはここからが三叉神経毛帯背側路）
…….↓
● 三叉神経脊髄路核から起こる軸索は延髄内で内側毛帯の背側を通過しながら感覚入力されたのと反対側へ交叉し、その後は脳幹内を上行する
…….↓
● 橋の背側
…….↓
● 中脳の背側（三叉神経毛帯外側路の内側）
…….↓
● 視床後内側腹側核（ventral posteromedial nucleus：VPM）（ここから３次ニューロン）
…….↓
● 一次体性感覚野（＝ブロードマン・エリアの３野・１野・２野、中心後回+極狭い範囲の中心前回）の顔面の領域
.
【図】大脳皮質から三叉神経節
.
図中の番号の解説
① 一次体性感覚野の顔面の領域
② 尾状核
③ 視床 ※接続しているのは視床後内側腹側核（ventral posteromedial nucleus：VPM）
④ 前障
⑤ 被殻
⑥ 淡蒼球
⑦ 上丘
⑧ 三叉神経毛帯外側路（頭部の温痛覚・体部における外側脊髄視床路に相当）
⑨ 三叉神経毛帯背側路（頭部の粗大な触圧覚・体部における前脊髄視床路に相当）
⑩ 三叉神経毛帯腹側路（識別性触圧覚・体部における後索路に相当）
⑪ 赤核
⑫ 内側縦束
⑬ 赤核脊髄路
⑭ 内側毛帯
⑮ 三叉神経節
⑯ 三叉神経知覚根
⑰ 主オリーブ核
⑱ 皮質脊髄路
⑲ 薄束核
⑳ 下小脳脚
㉑ 副楔状束核
㉒ 楔状束核
㉓ 三叉神経脊髄路核
㉔ 内側副オリーブ核
㉕ 弓状核
.
まとめ
三叉神経毛帯背側路の機能と走行に関してまとめました
.
● 表在感覚（皮膚や粘膜への接触したことで起こる感覚）を大脳皮質まで伝える経路の一つ
● 表在感覚の中の一つである粗大な触圧覚を伝える
● 大脳皮質まで感覚情報は伝わるので三叉神経毛帯背側路が伝える粗大な触圧覚は意識に上る
● 三叉神経毛帯背側路の２次ニューロンは視床・後内側腹側核に終わり、３次ニューロンは一次体性感覚野（＝ブロードマン・エリアの３野・１野・２野、中心後回+極狭い範囲の中心前回）の顔面の領域に終わる
● 三叉神経毛帯背側路は最終的に感覚入力があったのとは反対側の大脳皮質の一次体性感覚野（＝ブロードマン・エリアの３野・１野・２野、中心後回+極狭い範囲の中心前回）の顔面の領域まで情報を伝える
● 三叉神経毛帯背側路の粗大な触圧覚を伝えるという機能（＝役割）は体部における前脊髄視床路に相当する
.
他の感覚の経路についても今後まとめたいと思います♪
ありがとうございました!!
.
.
コメント