【臨床実習指導】SOAP形式でのレポートの書き方指導のコツ・項目別編

その他

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学生に対してSOAP形式でのレポートを指導するにはどうしたら良いのかな?

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こんな人のための記事です。

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療法士として働いていれば、臨床実習の学生を指導する機会もあることでしょう。

私も、2020年度は9名の学生の主たる指導者を務めました。

養成校によっては、学生の日々のレポートをいわゆる”SOAP形式”でまとめるように指示していることがあります。

これに関して、特にいわゆる”評価実習”に臨む学生にとっては、初めて患者さんに直接手を触れて関わる時期に”SOAP形式”で患者さんの情報をまとめてレポートを作成することは大変なようです。

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しかし、実習指導者の立場からしても、学生には馴染みのない”SOAP形式”で患者さんに関することをまとめることができるように指導することは一苦労です。

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養成校によっては実習前にレポートの書き方について一切指導を行っていないこともありますので、実習指導者がゼロから教えなければならないことも経験します

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そんな訳でこの記事は、

臨床実習において学生に対するSOAP形式でのレポートの書き方を指導する際のコツ

をまとめました。

今回は項目別編です。

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SOAPとは?

”SOAP”とは、問題指向型医療記録(POMR:Problem Oriented Medical Record)とも呼ばれる診療録(=カルテ)の記載の方法論の一つです。

各医療従事者が勝手気ままに診療録を記載してしまうと、あとで見直したときに記載が不十分で診療録として機能しないということがあり得ます。

そのため、以下の4つ項目を記載することで、診療録として機能させようという方法論です。

S=Subject:主観的データ。患者の訴えなどを記載する。

O=Object:客観的データ。医療従事者による検査・測定・観察を記載する。

A=Assessment:SとOとを統合して評価したものを記載する。

P=Plan:Aに基いて今後の治療計画を記載する。

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SOAP形式でのレポートの書き方指導のコツ

よくある”S(Subject)”に関する誤解

しばしば学生で見かけるのは、「主観的データ」ということだけに気を取られてしまい、学生自身が観察したこと(動作観察など)を記載することがあります。

学生自身が観察したことも、学生を主語にした場合は「主観的データ」となるでしょうが、SOAP形式における「主観的データ」の主語は患者です。

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よくある”S(Subject)”に関する誤解に対する指導の仕方

このような場合に私は、「主観的」の主語が患者であることを指導するようにしています。

つまり”S”には患者が仰っている言葉、問診に対する回答を記載するように伝えています。

具体的には以下のようなものはSとして記載する内容と指導しています。

運動をしたあとの自覚的な疲労感(修正Borg Scaleで数値化した場合も含める)

患者の感じる痛みの強さ(VASやNRSで採点した場合も含める)

患者の感じる痛みの質(「灼熱感」などの表現も含める)

患者の説明する日常生活で困っていること

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数値化したものが全て「客観的データ」とは限りません。痛みの強さをVASで採点・数値化した場合は、患者の自覚的・主観的な情報のため”S”となります。

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よくある”O(Object)”に関する誤解

しばしば学生で見かけるのは、「客観的データ」ということだけに気を取られてしまい、数値化した情報の全てを記載することがあります。

前項でも説明したように、例えば痛みの強さをVASで採点することがありますが、これは数値化されているものの、あくまでも患者が主観的に述べていることのため”S”に記載する内容だと指導します。

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よくある”O(Object)”に関する誤解に対する指導の仕方

私の場合は、学生によって観察、あるいは計測された情報全般を”O”に記載するように指導しています。

数値化するかしないか、検査バッテリーを使ったか使わなかったかは関係がないことを説明します。

具体的には以下のようなものはOとして記載する内容と指導しています。

学生による動作観察

学生による患者の行動や表情の観察

各種検査バッテリー(患者の自覚的・主観的なものを数値化する検査バッテリーは除く)

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検査バッテリーによっては患者の主観的情報と、医療従事者による客観的観察・計測が混在しているものもあるけど、その場合はどちらに記載するのかな?

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その場合は”S”でも”O”でもどちらでも良いけど、基本的には検査バッテリーの各項目を”S”と”O”とに分散させることなく、ひとまとめにして記載するようにと伝えています。

さらに言うと、実際にはそこまで厳密には「これは”S”、それは”O”」と分けられないことも多いので分け方はある程度で良いよと実習生には伝えています。

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よくある”A(Assessment)”に関する誤解

しばしば学生で見かけるのは、「評価」ということだけに気を取られてしまい、各種検査バッテリーの結果のみを記載することがあります。

これは、検査バッテリーを行うことだけでも「評価する」と表現することもあるために起こる誤解かと思います。

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よくある”A(Assessment)”に関する誤解に対する指導の仕方

私の場合は、”S”と”O”との情報を統合することで判断できること・考えられること・解釈できることを”A”として記載するように指導しています。

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しかし、今年度とある養成校から評価実習の学生を指導した際に、実習の要綱を確認したところ

デイリーレポートはSOAP形式で記載させて下さい。ただし、今回の実習は検査・測定のみを実習課題としていますので、統合と解釈は課さないようにしてください。

と記載されていました。ナンデヤネ━o(^ω^)=O)^ω^)━ン♪

統合と解釈を課したいのか、課したくないのか、はっきりしてほしいものです

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よくある”P(Plan)”に関する誤解

しばしば、学生で見かけるのは「筋力トレーニング」とか「関節可動域訓練」など、今後の計画なのか、それとも現在実施しているリハビリプログラムなのか一目では判断が出来ない記載の仕方です。

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よくある”P(Plan)”に関する誤解に対する指導の仕方

私の場合は、”P”を記載する際に、単語のみで終わらせるのではなく、文章で書くように指導しています。

また、その際に以下のような言葉を意識的に使うと良いと伝えています。

「今後は」・「次回は」・「来週は」…未来のことを記載すると自然と計画を立てることになる

「〇〇に変更する」…効果測定→改善行動を計画するという流れを作りやすくなる

「〇〇を継続する」…効果測定→改善行動を計画するという流れを作りやすくなる

「〇〇を目的に××する」…”A”の内容を踏まえた計画だということを意識しやすくなる

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まとめ

臨床実習において学生に対するSOAP形式でのレポートの書き方を指導する際のコツについて解説しました。

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“S”は患者の仰っている言葉や問診に対する回答を記載する

“O”は学生自身の観察や測定した内容を記載する

“A”は”S”と”O”によって得た情報を統合し、判断できること、考えられること、解釈できることを記載する

“P”は”A”を踏まえた今後の計画を記載する

“P”の文章中に「今後は〇〇する」や「〇〇を目的に××する」と自然と”A”を踏まえた計画を記載するようになりやすい

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学生指導の際の参考になったならば嬉しいです♪

ありがとうございました!!

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