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皮質脊髄路の機能や走行が知りたいな
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こんな人のための記事です。
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ときとして療法士は脳卒中を始めとした神経に障害を負った方に対して、学習を促すことで生活を支援します。
神経経路に対する理解を深めることは、病態に応じた学習の促し方をより良いものにしてくれることでしょう。
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とは言え、神経経路は多数存在し、その機能や走行を覚えるにも一苦労です。
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恥ずかしながら学生時代の私は神経経路と言えば錐体路と錐体外路という言葉以外、それ以上の詳細な分類も機能も走行も理解していませんでした
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そんな訳でこの記事は、神経経路の解説として
● 皮質脊髄路の機能と走行
に関してまとめました。
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主な運動経路

皮質脊髄路の解説の前に主な運動の経路を確認しましょう
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主要な運動の経路としては以下のものが挙げられます。
● 皮質脊髄路(延髄錐体より下行する際に前皮質脊髄路と外側皮質脊髄路とに分かれる)
● 皮質赤核路・赤核脊髄路
● 皮質網様体路・網様体脊髄路(延髄より下行する際に前網様体脊髄路と外側網様体脊髄路とに分かれる)
● 前庭脊髄路(前庭神経核から下行する際に内側前庭脊髄路と外側前庭脊髄路とに分かれる)
● 視蓋脊髄路
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神経の経路と言えば他には感覚の情報を伝える経路や、自身で実行した運動に関する情報をフィードバックする経路も存在します。
それらの詳細は別の機会に述べたいと思います。
皮質脊髄路の機能
● 主に一次運動野(=ブロードマン・エリアの4野、中心前回)からの神経線維で形成されている
● 随意的な運動(=意図的な運動)を行う際に、大脳皮質で生じた電気的な興奮(活動電位)を筋まで伝える
● ヒトにおいては巧緻的な運動を行う際に、その活動電位を伝える主要な経路である
● 例えば、凍結した道を歩くときのように意識して慎重に地面を踏むときの下肢の各関節の運動を制御するための活動電位を伝える
● 例えば、登山のときにデコボコ道や砂利道で捻挫しないように足の踏み方に注意しながら歩くときの下肢の各関節の運動を制御するための活動電位を伝える
● 歩行開始の一歩目で振り出す下肢の運動を制御する
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皮質脊髄路の走行
皮質脊髄路は以下のように走行します。
● 大脳皮質
……..↓
● 内包後脚
……..↓
● 中脳・大脳脚
……..↓
● 橋の腹側部
……..↓
● 延髄・錐体
……..↓
● 延髄錐体で線維の70~90%は錐体交叉を通過して外側皮質脊髄路として起始した大脳皮質とは対側を下行する
● 延髄錐体で線維の10~30%は前皮質脊髄路として起始した大脳皮質とは同側を下行する
……..↓
● 外側皮質脊髄路は下行したのと同側の脊髄前角細胞に至る
● 前皮質脊髄路は白交連を通過して下行したのとは対側の脊髄前角細胞に至る
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皮質脊髄路は脊髄前角細胞に至る途中、延髄・錐体で外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路とに分かれます。
外側皮質脊髄路にしても、前皮質脊髄路にしても両方とも最終的に至るのは起始した大脳皮質とは対側の脊髄前角細胞です。
脳卒中によって片側が傷害された場合に、運動麻痺(随意的な運動の障害)が傷害された脳とは反対側に出現するのはそのためです。
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【図】大脳皮質から脊髄前角細胞
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図中の番号の解説
① 一次運動野
② 尾状核
③ 視床
④ 前障
⑤ 被殻
⑥ 淡蒼球
⑦ 赤核
⑧ 大脳脚
⑨ 内側縦束
⑩ 前庭神経核
⑪ オリーブ核
⑫ 錐体
⑬ 錐体交叉
⑭ 外側皮質脊髄路
⑮ 前皮質脊髄路
⑯ 前角細胞
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【図】脊髄レベルでの詳細な断面図
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図中の番号の解説
⑭ 外側皮質脊髄路
⑮ 前皮質脊髄路
⑯ 前角細胞
⑰ 外側皮質脊髄路
⑱ 前皮質脊髄路
⑲ 赤核脊髄路
⑳ 外側網様体脊髄路
㉑ オリーブ核脊髄路(※ヒトにおいては存在しないとも言われている)
㉒ 前網様体脊髄路
㉓ 外側前庭脊髄路
㉔ 視蓋脊髄路
㉕ 内側前庭脊髄路
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まとめ

皮質脊髄路の機能と走行に関してまとめました
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● 皮質脊髄路は随意的な(=意図的な)運動に伴う大脳の活動電位を筋まで伝える
● 皮質脊髄路はヒトにおいては巧緻的な運動を行う際に、その活動電位を伝える主要な経路である
● 皮質脊髄路は延髄・錐体交叉で外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路とに分かれる
● 外側皮質脊髄路も、前皮質脊髄路も最終的には起始した大脳皮質とは反対側の脊髄前角細胞に至る
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その他の運動経路についても今後まとめたいと思います♪
ありがとうございました!!
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