【解説・神経経路】感覚の受容器の分類

ニューロリハビリテーション

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感覚の受容器(=感覚器)にはどんなものがあるのか知りたいな

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こんな人のための記事です。

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ときとして療法士は脳卒中を始めとした神経に障害を負った方に対して、学習を促すことで生活を支援します。

神経経路に対する理解を深めることは、病態に応じた学習の促し方をより良いものにしてくれることでしょう。

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とは言え、神経経路は多数存在し、その機能や走行を覚えるにも一苦労です。

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恥ずかしながら学生時代の私は錐体路と錐体外路という言葉以外、それ以上の詳細な分類も機能も走行も理解していませんでした

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そんな訳でこの記事は、感覚の神経経路の解説の前段として

感覚の受容器の分類

に関してまとめました。

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身体のどこに関する情報を受容するかによる分類

身体のどこに関する情報を受容するのかによって、感覚の受容器(=感覚器)は3つに大別されます。

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外受容器

身体の外部や身体の表面に関する情報を受容する感覚器を外受容器と言います。

具体的には

皮膚のマイスナー小体、メルケル触板、ルフィニ小体、クラウゼ終棍などの様々な感覚器(触覚、圧覚、振動覚、温覚、冷覚など)

コルチ器の有毛細胞(聴覚…音=空気の振動)

杆状体・錐状体(視覚…光の波幅と波長)

前庭器官(前庭覚…頭部の加速度)

嗅細胞(嗅覚…”臭い分子”と呼ばれる特定の化学構造を持った分子)

これらが外受容器に分類されます。

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固有受容器(深部受容器)

運動器に関する情報を受容する感覚器を固有受容器(=深部受容器)と言います。

具体的には

筋紡錘(筋を引っ張る力)

ゴルジ腱器官(筋・腱・関節包を引っ張る力)

関節包表層にあるルフィニ小体様の受容器(関節の肢位と運動方向を感知するとされる)

関節包深層にあるパチニ小体様の受容器(関節包に加わる圧力を感知するとされる)

関節包全域にある自由神経終末(過剰な関節の運動や炎症物質など化学的刺激を感知して疼痛信号を出すされる)

これらが固有受容器に分類されます。

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内臓受容器(内受容器)

内臓に関する情報を受容する感覚器を内蔵受容器(=内受容器)と言います。

頸動脈洞の圧受容器(血圧上昇に伴う血管壁の伸張を感知する)

大動脈弓の圧受容器(血圧上昇に伴う血管壁の伸張を感知する)

頸動脈小体や大動脈弓にある末梢性化学受容器(血液中の酸素分圧=PaO2や二酸化炭素分圧=PaCO2の変化による血液中のpHの変化を感知する)

肺伸展受容器(肺容積の増加を感知する)

肺の刺激受容器(肺の気道の伸展、タバコの煙・硫黄酸化物・アンモニアなど化学的刺激を感知する)

肺のC線維(肺水腫による肺結合織の変形、ヒスタミン・ブラジキニン・セロトニンなど内因性化学物質による刺激を感知する)

これらが内蔵受容器に分類されます。

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刺激特異性による分類

どのような性質の刺激を受容する感覚器なのか(=刺激特異性)によって4つに大別されます。

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化学受容器

特定の化学構造を持った分子が刺激となって興奮する受容器を化学受容器と言います。

具体的には

嗅細胞(嗅覚…”臭い分子”と呼ばれる特定の化学構造を持った化学分子)

味蕾細胞(味覚…”味分子”と呼ばれる特定の化学構造を持った化学分子)

これらが化学受容器に分類されます。

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機械受容器

引っ張る、圧迫する、振動するなどの力学的な刺激によって興奮する受容器を機械受容器と言います。

具体的には

筋紡錘(筋を引っ張る力)

ゴルジ腱器官(筋・腱・関節包を引っ張る力)

関節包表層にあるルフィニ小体様の受容器(関節の肢位と運動方向を感知するとされる)

関節包深層にあるパチニ小体様の受容器(関節包に加わる圧力を感知するとされる)

関節包全域にある自由神経終末(過剰な関節の運動や炎症物質など化学的刺激を感知して疼痛信号を出すされる)

前庭器官(前庭覚…頭部の加速度)

コルチ器の有毛細胞(聴覚…空気の振動)

これらが機械受容器に分類されます。

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温度受容器

熱い、冷たいといった熱の授受によって興奮する受容器を温度受容器と言います。

具体的には

皮膚のルフィニ小体(温覚)

皮膚のクラウゼ終棍(冷覚)

これらが温度受容器に分類されます。

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光受容器

光による刺激によって興奮する受容器を光受容器と言います。

具体的には

杆状体(視覚…光の波幅=明暗)

錐状体(視覚…光の波長=色彩)

これらが光受容器に分類されます。

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受容器の構造による分類

受容器自身が中枢神経系に軸索を送る構造となっているか、あるいはそうではなく受容器とその興奮を中枢神経系に送る細胞(=第1次ニューロン)とが異なる構造となっているかによって、2つに分類されます。

受容器の構造による分類についてはこちらにも記載しています。

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1次受容器

受容器自身が中枢神経系に軸索を送る構造となっているものを、1次受容器と言います。

具体的には

ルフィニ小体(温覚)

クラウゼ終棍(冷覚)

ファーター・パチニ小体(触圧覚)

マイスナー小体(触圧覚)

メルケル触板(圧覚、振動覚)

これらが1次受容器に分類されます。

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2次受容器

受容器と中枢神経系に軸索を送る細胞とが異なる構造となっているものを、2次受容器と言います。

具体的には

杆状体(視覚…光の波幅=明暗)

錐状体(視覚…光の波長=色彩)

嗅細胞(嗅覚…”臭い分子”と呼ばれる特定の化学構造を持った化学分子)

味蕾細胞(味覚…”味分子”と呼ばれる特定の化学構造を持った化学分子)

前庭器官(前庭覚…頭部の加速度)

コルチ器の有毛細胞(聴覚…音=空気の振動)

これらが2次受容器に分類されます。

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まとめ

感覚の受容器の分類に関してまとめました

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身体のどこに関する情報を受容するかによって、外受容器、固有受容器(=深部受容器)、内蔵受容器(=内受容器)に分類される。

刺激特異性によって、化学受容器、機械受容器、温度受容器、光受容器に分類される。

受容器の構造によって、1次受容器、2次受容器に分類される。

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感覚の経路については今後まとめたいと思います♪

ありがとうございました!!

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