認定理学療法士取得のメリットと意義を考える

その他

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先日、後輩からこんな質問を受けました。

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 認定理学療法士を取得するメリットって何ですか? 

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多くの理学療法士は養成校を卒業するときに、教員から理学療法士協会への入会をおススメされます。

協会は理学療法士の資質向上、専門職能水準向上、自己研鑽継続を目的に生涯学習制度を運用しています。

生涯学習システムの第一段階が新人教育プログラムであり、第二段階に認定理学療法士・専門理学療法士が位置付けられています。

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ただ協会入会後、新人教育プログラムを修了するか。さらにその後、認定理学療法士取得を目指すかは人それぞれのようです。

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私は養成校卒業時に教員に勧められるまま協会に入会し、協会に入会したのだからと特に疑問に感じることなく新人教育プログラムを修了致しました。

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新人教育プログラム修了となる講習会の受付をした際に、認定理学療法士の専門分野の登録手続きも行っていたためその流れで手続きを行ったに過ぎません。

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ちなみにどの専門分野に登録するか決めかねて受付の方に相談したところ

 専門分野?それって美味しいの? 

 そんなの全部登録すればおk 

 サンキュー、おじさん 

という程度の認識しかございませんでした。

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当然、当時は認定理学療法士を取得する意義やメリットに関して理解していたわけではありませんし、しっかりと考えることもしていなかったと思います。

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しかも、実際に認定理学療法士を取得したのは5年以上経過してからです。

最短で新人教育プログラム修了から2年後には認定理学療法士を取得できるところを、しばらくサボっていた訳です。

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そのような私が認定理学療法士を取得しようと強く感じたのはあるきっかけがあったためです。(これは後述致しますが)

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私は認定理学療法士取得を目指している時点でその必要性を感じていた訳ですが、その一方で“認定理学療法士を取得する意義(=日本理学療法士協会が認定資格を設ける目的)に対してメリットを感じ取れるか否かは各個人の背景や価値観次第”ということも言えます。

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そのため、誰かが「これが認定理学療法士を取得するメリットです」と言っても、他人にとっては「そんなものメリットでも何でもないじゃないか。」と感じることもありえます。

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それを承知の上ではございますが、今回は私なりに感じる認定理学療法士を取得するメリットと意義を説明致します

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日本理学療法士協会入会のメリットを記しました。よろしければご覧下さい。

新人教育プログラム修了のメリットを記しました。よろしければご覧下さい。

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なお、本記事で申し述べる内容は私個人の見解であり、私の所属する組織や日本理学療法士協会の見解とは異なりますので宜しくお願い致します。

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認定理学療法士取得を決意したきっかけ

当時の私の職場は臨床経験10年目未満のスタッフが大半の若い職場でした。

ある時期、1~2年間で職場の中堅以上のスタッフがほぼ退職してしまうという事態が発生致しました。

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残されたスタッフの大半は臨床経験3年目以下の若手療法士です。

元々若かった職場がこれ以上若返りようのない状態に至った訳です。

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そんな最中、ある時ある新人療法士がポツリと言いました。

 ワタシたち、これからどうなっちゃうんでしょう…? 

至極、真っ当な感覚であるとともに、その言葉を聴いた瞬間に私自身の中にある2つの価値観に強烈に気付かされました。

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1つは、新人療法士が仕事に集中できないような不安を感じる職場など、あってはならないということです。

それを作り出した直接的な原因は私になくとも、残された療法士の中では上の立場となった私にはそれを改善する責任がございます。

無論、私にも当時の職場を直ちに辞めるという選択肢はあった訳ですが、諸々の事情が私にそれを潔しとさせませんでした。

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もう1つは、臨床経験など最も必要な場面においては何の信用の材料にもならないということです。

中堅の療法士の大半が離職したとはいえ、数名ですが臨床経験20年以上のベテランも残っていました。しかし、彼らの存在は少なくとも先述の新人療法士にとっては何の救いにもならなかったようです。

もし、10年目、20年目といった臨床経験年数そのものによって信用を生み出すことが出来るならば、新人療法士の言葉はなかったのではないでしょうか?

やはり社会において信用の礎となるのは実績であり、それを端的に現わしてくれる、あるいは担保してくれるものは資格や肩書なのです。

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職場が危機的な状況に至り、また新人療法士の一言がきっかけで、自身の不甲斐なさとともに自分よりも経験年数が上の療法士の姿を見て「ああはなるまい」と痛感した末に、信用される実績を作るべく認定理学療法士取得を決意したのです。

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認定理学療法士取得のメリットと意義

日本理学療法士協会のHPには認定理学療法士に関して以下のように説明されています。

新人教育プログラム修了者を対象に、自らの専門性を高め、高い専門的臨床技能の維持、社会、職能面における理学療法の専門性(技術・スキル)を高めていくことを目的としています。

出典:日本理学療法士協会HP

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また、認定理学療法士の取得に受講が必要な指定研修会の内容は、

  1. 専門職の科学と倫理
  2. 学術情報の活用
  3. 理学療法診療ガイドライン/理学療法教育ガイドライン
  4. 医療安全とリスク管理(呼吸循環と転倒に関するもの)
  5. 機器の安全管理
  6. 労務管理・職場管理

以上となっています。(私が受講した平成27年度のものですが)

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ご覧のように、認定理学療法士が存在する意義はその専門領域において高い治療技能を発揮するとともに、各臨床現場において部門管理に携わっていくことであることがお分かりになるかと思います。

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これはそのまま先に述べた、私に認定理学療法士を取得する決意をさせた出来事の原因を潰す助けになると考えています。

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つまり

①療法士が安心して働くことができる職場環境を作る

②自身の総合的な臨床技能の信用を高め担保する

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これらを実現する一助となる。

これが認定理学療法士を取得するメリットであり意義であると考えています。

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認定理学療法士取得に金銭的なメリットはあるのか?

はっきりと申し上げて令和2年6月現在で、公的制度において認定理学療法士取得の金銭的メリットはございません

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先に申し上げた通り、認定理学療法士取得のメリットは自身の治療技能の向上とともに、自分の周囲の療法士が働きやすい環境を作ることです。

これによって自身の力だけでは及ばない組織としての力を発揮することで、患者さんの治療はより良い方向へ向かうのではないかなぁと思います。

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ところで、私に対して直接的な金銭的なメリットがないから認定理学療法士は無価値だと仰る(説教する?)方々にお会いしたこともございますが、こういった方々は自身の収入に寄与しない自己研鑽は積まないと仰りたかったのでしょうか?

彼らの価値観は尊重するとして、私に対するご高説の意図は理解できませんでした。

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一方、職場によっては認定理学療法士を含め、資格などの取得を後押しするために資格手当や報奨金などを設けている職場もあると伺っております。

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先ほどは強がって見せたものの、そのような職場で働きたいという考えが一瞬たりとも頭を過ぎらなかったかと言えばウソになります(笑)

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まとめ

認定理学療法士取得のメリットと意義に関して私見を述べました。

理学療法士として高い能力を臨床現場で発揮する礎となる

療法士が働きやすい部門管理能力を身に付けるきっかけとなる

理学療法士としてその能力を担保し信用を高める

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以上です。

今回も最後までご覧いただき誠にありがとうございました!!

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