理学療法士協会入会のメリットと意義を考える

その他

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先日、後輩からこんな質問を受けました。

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 理学療法士協会に入会するメリットって何ですか?

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多くの理学療法士は養成校を卒業するときに、教員から協会への入会をおススメされます。

ただ、その際の説明や推奨の程度に違いがあるようで、決して安くない年会費(約20,000円=協会費11,000円+都道府県士会費)を訳も分からないまま支払続けるのはイヤだということで入会しないケースも耳にします。

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私も養成校卒業時に教員に勧められるまま入会しました。

当時から理学療法士協会の存在の意義や入会するメリットに関して理解していたわけではありませんし、しっかりと考えることもしていなかったと思います。

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ただし現在、10年以上理学療法士として働く中で気付いたことがあります。

それは、“協会が存在する意義(=協会を運営する目的)に対してメリットを感じ取れるか否かは各個人の背景や価値観次第”ということです。

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そのため、誰かが「これが協会入会のメリットです」と言っても、他人にとっては「そんなものメリットでも何でもないじゃないか。」と感じることもありえます。

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それを承知の上ではございますが、今回は私なりに感じる日本理学療法士協会入会のメリットと意義を説明致します

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新人教育プログラム修了のメリットを記しました。よろしければご覧下さい。

認定理学療法士取得のメリットを記しました。よろしければご覧下さい。

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なお、本記事で申し述べる内容は私個人の見解であり、私の所属する組織や日本理学療法士協会の見解とは異なりますので宜しくお願い致します。

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日本理学療法士協会HPで紹介されている入会特典

まずは日本理学療法士協会HPで紹介されている入会特典を確認しましょう。(なお、詳しくはこちらの日本理学療法士協会HPをご覧下さい。)

日本理学療法士協会HPに掲載されている入会特典をまとめると以下の通りです。

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①協会が主催する研修会・講習会への参加料や、学術大会・学術集会への演題登録料が安くなる。

②学術論文誌(理学療法学)や会報誌が定期購読できる。

③都道府県士会活動を通じて職場外の理学療法士との交流を図れる。

④福利厚生サービスとして、特定のレジャー施設、飲食店、レンタカーなどを割引価格で利用できる。

⑤理学療法士賠償責任保険に加入できる。

⑥割引価格で特定の民間保険(医療保険、がん保険、介護保険)に加入できる。

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①~③は理学療法士として研鑽する上でメリットを感じるかもしれません。

④は暮らしの中の余暇活動を、より充実したものにできるかもしれません。

⑤、⑥は日常的にメリットを感じることは難しいでしょうが、万が一の備えで安心できることでしょう。

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ただし、私の感じる協会入会のメリットこれらの他にもございます。

それはともすれば、日頃、身近には感じにくいものです。

私も含め、現在の若手から中堅の理学療法士は、理学療法士になったときからごく当たり前のようにあったものなので、理解しにくいものかもしれません。

それは理学療法士協会の事業目的であり、これを知らずに協会入会の意義を理解することは難しいのではないかと思います。

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協会定礎から事業目的と協会入会の意義を知る

公益社団法人日本理学療法士協会定礎には以下のように記されています。

第2章 目的及び事業

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(目 的)

第3条

この法人は、理学療法士の人格、倫理及び学術技能を研鑽し、わが国の理学療法の普及向上 を図り、以って国民の医療・保健・福祉の増進に寄与することを目的とする。

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(事 業)

第4条

この法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。

(1)国民の健康と福祉の増進並びに障害と疾病の予防に資する事業

(2)理学療法における学術及び科学技術の振興に資する事業

(3)国際協力及び貢献に資する事業

(4)教育機関に協力し、健康並びに教育の向上に資する事業

(5)理学療法に関する刊行物の発行及び調査研究事業

(6)理学療法士の社会的地位の向上と会員の福祉に関する事業

(7)その他、この法人の目的を達成するために必要な事業

2 前項に定める事業は、その実施地域を本邦及び海外とする。

出典:公益社団法人日本理学療法士協会定礎

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定礎第3条の協会運営の目的を言い換えると、協会は「学術団体」「職能団体」という2つの役割を担うものと言えます。

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つまり、

理学療法という治療法や理学療法学という学問を発展させる

理学療法士が社会で働く領域を広げる

理学療法士が働く領域に応じた専門領域以外の技能・知識獲得(教育、マネジメント、経営、倫理など)も支援する。

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協会の関わる事業を見ると協会HPに示されている入会特典は、協会運営の目的に沿って行われている事業のごく一部であることが分かります。

かつ、あくまでも個々の理学療法士にできる限りメリットを実感できるものをピックアップしたものかと思います。

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私も含めた現在の若手から中堅の理学療法士は、養成校入学当時から現在の医療保険・介護保険の仕組みが概ね作られていました。

また、理学療法士として様々な研修会、講習会が開催され、学術論文にもネットを通じて容易にアクセスできるため、研鑽を積むための環境もございます。

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そのため、現在の仕組みや環境をごく当たり前のように感じてしまいがちです。

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しかし、当然のことながらこれらは「雨が降ったら生えてきた」というような自然発生的な代物ではございません。

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誰かが明確な意図・意志を持って取り組み続けた結果なのです。

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例えば、明日から現在の仕組みや環境が全て失われて「各理学療法士の自己責任・実力だけで研鑽し、そして、働いて下さい」と言われて何の戸惑いもなく行動できる理学療法士が果たしてどれほどいるでしょうか?

少なくとも私には難しいと思います。

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このような点で、協会運営の意義は道路や上下水道などインフラストラクチャーとよく似ているかもしれません。

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日常的に使っているため、アスファルトで舗装された道路を自動車で走るときや、水道の蛇口を捻って手を洗うたびに、それらの整備に関わった行政、建設業者、さらに部品を作成した業者やその原料を掘り出し加工し流通させる人々に感謝する人はあまりいないでしょう。

しかし、これらが失われるとその瞬間から少なくとも現在の生活は成り立たなくなることは断言できます。

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現在の理学療法士が活躍するための仕組みや環境の構築にどれほどの苦労があったか、若輩の私は知る由もございません。

また、それには理学療法士協会以外の方々のご尽力もあったことでしょう。

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私が分かることとしては、我々理学療法士が活躍するにはその基盤が必要であり、その基盤を構築するには多大な労力が費やされているということです。

それを担っているのが理学療法士協会であると私は理解しております。

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まとめ

今回は理学療法士協会入会のメリットと意義を私なりに考えました。

それは以下のようにまとめられます。

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理学療法士協会HPで紹介されている入会特典は入会のメリットのごく一部である。

理学療法士協会は大きく「学術団体」と「職能団体」という2つの役割を担う。

理学療法士が社会で活躍する基盤の構築に理学療法士協会は貢献している。

今回も最後までご覧いただき誠にありがとうございました!!

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