備忘録として臨床研究について学んだことを記します
今回はRQの概念(=各要素を言語化したもの)の関連図について解説します
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概念の関連図の基本的な形
上の図が概念の関連図の最も基本的な形です。
つまり、
● 標的母集団(P)に
● ある要因(E)が存在すると/ある介入(I)をすると
● ある結果(O)が起こりやすくなる
という文章を図示することで、それぞれの要素がどのような関連を持っているのかが視覚的にも理解しやすくなります。
ちなみにPECO/PICOにおけるCは関連図では省略することをおススメします。
上の図のE/Iが無い状態がCと考えられるので省略しても混乱することはないでしょうし、出来るだけ関連図はシンプルにした方が視覚的に理解しやすいからです。
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なぜ概念の関連図を作る必要があるのか?
研究の全体像を見失いにくくなる
研究を進めていくと、検討内容がどんどん詳細になっていきます。
つまり研究において細かい内容を思考しなければなりません。
細かい内容を突き詰めていくと途中で不適切であることが発見されて、修正を余儀なくされることもしばしばあります。
しかし、修正しようと過去の検討内容を振り返ったとしても、どこまで遡れば良いのか?どこからが不適切だったのか?判断できないまま新しくデータを集めるなどしても、却って収集がつかなくなってしまいます。
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修正点を適切に判断できないと、
袋小路に迷い込むように行き詰まってしまう訳ですね
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では、研究の過程で行き詰まったとき、適切に修正するには何に気を付ければ良いのでしょうか?
それは研究の全体像を振り返り、研究の構成要素は何か?各要素はどのような関係性にあるのか?を再確認することです。
研究の全体像をいつでも理解しやすい形に残しておくことは、研究を進めていく方向性を指し示す羅針盤として、将来研究に取り組むあなたをきっとサポートしてくれることでしょう。
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アウトカムに影響を及ぼす「第3の因子」が認識できる
当サイトでは量的な臨床研究についての解説をしています。
量的な臨床研究の本質は比較することであることは過去に述べました(詳細はコチラの記事)。
しかも、科学的に質の高い比較をすることが重要です。
例えば、ある観察研究において、とある要因(E)が存在する場合と存在しない場合(C)とで結果(O)が異なるかを検討するならば、Oの差がEとCによって説明できなければなりません。
つまり、EとCによる影響だけでなく、他の要因も影響してしまってOの差が生じているという可能性を否定しなければならないのです。
このように研究においてEとOのそれぞれに影響を与えるような因子は「第3の因子」とも呼ばれることがあります。
ちなみに「第3の因子」は1つとは限りません。複数存在するケースもあります。
概念の関連図を作成することで「第3の因子」の存在に気付きやすくなり、データを収集する段階で結果に影響を及ぼす可能性がある因子についてもデータを収集するなど、研究を進める上で適切な判断ができるようになります。
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統計解析をデザインするときに必要
統計解析をするときに概念の関連図があると、「何と何を比較しているから、どのような統計解析をすることが適切か」などが判断しやすくなります。
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最後に
今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います
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ありがとうございました!!
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