【解説】選択バイアスの種類 ①

臨床研究への道程

備忘録として臨床研究について学んだことを記します

今回は選択バイアスの種類について解説致します

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【復習】選択バイアスとは何か?

臨床研究において誤差とは、得られた結果と真実の値との不一致のことを指します。

誤差の大まかな分類は下図のように示すことが出来ます。

選択バイアスとは系統誤差の中でも交絡以外のものであり、研究の対象者を選ぶ段階で発生する誤差のことを指します。

選択バイアスによって、研究者が本来調査したいと考えている集団とは異なる集団の結果となってしまいます。

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選択バイアスの種類

有病者・罹患者バイアス(=Neymanバイアス)

例えば、回復期リハビリテーション病院に入院中の患者で転倒骨折によって入院した者を対象に、転倒骨折が発生する要因を調査したとします。

しかし、転倒骨折をした患者の全てが回復期リハビリテーション病院に入院する訳ではありません。

外来診療のみで入院に至らなかった者

急性期病院から直接在宅に退院した者

転倒骨折後間もなく死亡した者

実は転倒骨折していたが「この程度なら病院に行くまでもない」と病院を受診しなかった者

このような者たちのデータは得られません。

そのため、対象とする集団が真の転倒骨折者の集団を正しく代表していない偏りのある集団となりえます。

このような場合は、対象に含まれなかった者たちが持っていた要因の影響が実際よりも小さく判断されてしまいます。

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自己選択バイアス(=志願者バイアス)・非協力者バイアス(=未回答者バイアス)・積極協力者バイアス

非協力者バイアス(=未回答者バイアス)とは、リスクファクターを保有している者が被験者になることを拒否できる状況で起こりうるバイアスです。

この場合、リスクファクターを保有する者が症例群に入りにくくなる偏りが生じます。

積極協力者バイアスとは、リスクファクターを保有している者が被験者になることを後押しするような状況で起こりうるバイアスです。

この場合、リスクファクターを保有する者が症例群に入りやすくなる偏りが生じます。

これら2つを合わせて自己選択バイアス、または、志願者バイアスと言います。

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例えば、将来糖尿病を発症するか否かに関する調査をするとして被験者を募集したとします。

このような場合、ある程度健康に自信があったり興味関心の高い者は自ら志願して、あるいは積極的に被験者に応募することでしょう。

健康に自信があったり興味関心の高い者は、運動習慣があったり食生活に気を付けていたりするものです。

逆に自身の生活習慣が乱れていると自覚している者が進んで被験者に応募するとは考えにくく、なかなか協力が得られにくいのではないでしょうか?

このような場合は、本来、糖尿病を発症する症例群に入りやすいであろう生活習慣の乱れた人たちの協力は得られにくく、その人たちの持つ因子の影響が実際よりも小さく判断される可能性があります。

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入院バイアス(=Berksonバイアス)

「病院内の患者のみを対象とする研究」や「施設利用者のみを対象とする研究」というような一般集団とは異なる集団を対象とした場合は一般集団とは異なる傾向が存在しえます。

一般集団と異なる特殊な集団を対象としているにも関わらず、研究から得られた結果を一般集団にもあてはまるかのように判断すると結論を歪めうるので注意が必要です。

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例えば

対象:回復期リハビリテーション病棟に入院中の患者

アウトカム:肺炎の発症

要因:骨折による入院

とした場合、要因を持たない患者は骨折以外による入院患者となります。

対象が回復期リハビリテーション病棟入院中の患者という一般集団とは大きく異なる集団のため、自ずと要因を持たない患者の多くは脳血管疾患患者となることでしょう。

脳血管疾患患者の集団は一般集団と比べて嚥下障害が併存している者の割合が多くなることが予想されます。

そうすると、このような研究では要因を持たない者(=骨折以外による入院患者)において肺炎を発症する者が多くなることでしょう。

このような特殊な集団から得られた結果を一般集団でも当てはまるかのように分析してしまうと

骨折することは肺炎の予防に関連がある

という一般的な感覚からは、およそあり得ないような結論が導かれてしまいます。

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最後に

今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います

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ありがとうございました!!

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