【解説】「発生を示すアウトカム指標」とは?:発生率編

その他

備忘録として臨床研究について学んだことを記します

今回は臨床研究におけるイベント発生をアウトカムとした研究における
「発生を示すアウトカム指標」の1つである「発生率」について解説致します

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【復習】「イベント発生をアウトカムとした研究」とは?

復習として、イベント発生をアウトカムとした研究とはどのようなものなのか、Clinical Question(CQ)の型に沿って説明致します。

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CQとは、医療従事者が日常の臨床現場で感じる漠然とした疑問のことを指します。

明確な問いの形に整えられていない段階の「臨床研究の種」とも言えるものです。

以前も述べましたが、CQは大まかに以下の4つに分けられると言われています。

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病気や診療の実態を調べる研究

② 診断方法を確立する研究

③ 要因と結果との関係を調べる研究

④ 治療法 or 予防法 の効果を調べる研究

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これらのCQのうち②を除く、①・③・④が「イベント発生をアウトカムとした研究」となりえます。

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ちなみにCQについて、もっと詳しく復習したいという方は
コチラの記事をご覧下さい

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「発生」と「存在」とは何が違うのか?

以前、「存在を示すアウトカム指標」についても解説しましたが、
今回解説する「発生」と「存在」は何が違うのでしょうか?

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臨床研究における「発生」とは、「ある期間にあるイベントがどれだけ起きたか」ということを意味します。

重要なのは「ある期間に」という時間の概念が含まれていることです。

一方、臨床研究における「存在」とは「ある一時点においてあるイベントがどれだけ起きているか」ということを意味します。

「存在」は一時点の状態を示すだけで時間の概念を含みません。

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イメージとしては下図のようになります。

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ある病気に罹患するケースを考えましょう。

「発生」はある期間において、その病気に罹患した人全てを人数としてカウントします。

罹患した人の中には罹患中の人だけでなく、既に回復した人や既に死亡した人も含みます。

つまり、現在は罹患していなくとも過去に罹患していた人をカウントするので、発生には時間の概念が含まれているのです。

「存在」はある一時点において罹患中の人だけをカウントします。

これが「発生」と「存在」の違いです。

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このような「発生を示すアウトカム指標」の代表例としては

リスク

発生率

以上が挙げられます。

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「発生率」とは何か?

臨床研究における発生率(incidence rate)とは

「at risk な集団においてある時間単位でどれくらい新たにイベントが発生するか」

を意味します。

発生率は罹患率とも呼ばれます。

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「at risk な集団」とは、「イベントが発生していない人ではあるものの、イベント発生の可能性のある人の集団」です。

つまり、「イベント発生の待機状態にある人の集団」とも言えます。

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同じ発生を示すアウトカム指標でも発生率とリスクとは以下の点が異なります。

発生率:観察開始からいつイベントが発生したかが問われる

リスク:観察開始からいつイベントが発生したかは問われない

発生率とリスクとの違いは次の発生率の計算方法でより詳しく述べます

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「発生率」の計算方法

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上の図は、5名の地域在住の虚弱高齢者を対象に転倒の発生について5年間観察したイメージ図です。

虚弱状態で地域で過ごしていることが転倒発生に関して at risk な状態と言えます。

結果を一人ずつ見ます。

Aさん:2.0年で転倒した = 観察期間2.0年でイベントが発生した

Bさん:1.5年で転倒した = 観察期間1.5年でイベントが発生した

Cさん:2.5年で死亡した = 観察期間2.5年で脱落した(イベントは発生しなかった)

Dさん:3.0年で転倒した = 観察期間3.0年でイベントが発生した

Eさん:5.0年間で転倒しなかった = 観察期間5.0年でイベントが発生しなかった

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5名の観察期間の総和は、「at risk な人がアウトカムが発生するのを待機している時間の総和(total person-time at risk of incidence)となります。

単位は人時間です。(今回は単位時間が「年」のため単位は「人年」)

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つまり5年間の観察の結果をまとめると以下のようになります。

転倒した人は4名 : イベント発生の総数

5名の観察期間の総和は 2.0+1.5+2.5+3.0+5.0 = 14.0人年 : total person-time at risk of incidece

観察期間の途中で死亡した人は1名 : 脱落

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発生率は以下の式で求められます。

「発生率」 = 「イベント発生の総数」 ÷ 「total person-time at risk of incidece」

よって今回の例においては発生率は、4名 ÷ 14.0人年 = 0.285…人/人年 となります。

つまり「1年間で0.285人というスピードで転倒が発生した」ということになります。

あるいは「1年間で1万人あたり2850人というスピードで転倒が発生した」とも言えます。

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一方、リスクで表すとどうでしょうか?

リスク = 3名 ÷ 5名 = 0.6 となります。

つまり「5年間の観察で転倒するリスクは0.6」ということになります。

あるいは「5年間で1万人あたり6000人に転倒が発生した」とも言えます。

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「発生率」をアウトカム指標として用いる研究とは?

発生率をアウトカム指標として用いる研究とはどのようなものでしょうか?

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先述した「4つのCQ」の分類では

① 病気や診療の実態を調べる研究

③ 要因と結果との関係を調べる研究

④ 治療法 or 予防法 の効果を調べる研究

以上の研究の中でも、時間経過を伴って縦断的に追跡・観察・分析するような研究で用いられます。

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研究デザインの分類では

介入研究

縦断的な記述研究

コホート研究(過去起点のコホート研究を含む)

以上のような研究で用いられます。

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発生率をアウトカム指標として活用する研究は
リスクをアウトカム指標として活用する研究とほぼ同じです

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最後に

今後も臨床研究に関して学んだことを記していきたいと思います

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ありがとうございました!!

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