投資の話【レバレッジ型投資信託に投資するときの注意点】

その他

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レバレッジ型の投資信託を積み立てれば手っ取り早く儲けられるゾ♪

こんな方への注意喚起の記事です。

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投資に興味を持った方は誰でも多かれ少なかれ「資産を大きくしたい」という欲求があるのではないでしょうか?

ドルコスト平均法を用いたインデックス型の投資信託への積み立て投資は、10年間や20年間という長期で見たときに損をする危険性を抑えた優れた投資方法だと思います。

しかし、直ちに大きく資産が増えるわけではありません。

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順調に投資を続けている間にふとこんな考えが頭をよぎるかもしれません。

大きなリスクは冒したくないけど、

もう少し資産を増やすスピードをアップできないものかしら…?

そのようなときにレバレッジ型の投資信託は魅力的に映ることでしょう。

対象となる指標(インデックス)の2~4倍程度の値動きをする商品があるため、「通常のインデックス投資に比べ手っ取り早く資産を増やせるのでは?」と期待してしまうわけです。

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しかし、レバレッジ型の投資信託の値動きの特徴を知らないまま積み立て投資をすると、気付かないうちに自身の思惑より大きなリスクを取ってしまう可能性がございます。

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レバレッジ型投資信託への投資の成果はインデックス型投資信託のそれと比べ

上下の振れ幅(=リスク)が大きいので注意が必要です。

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そんな訳でこの記事は、

レバレッジ型投資信託に投資するときの注意点

を、まとめました。

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レバレッジ型(ブル・ベア型)投資信託って何?

レバレッジ型投資信託とは概ね以下のような特徴を備えています。

ある指標を基準として日々の基準価額が変動する(変動することを目指す)

日々の基準価額の変動は基準とする指標の日々の値動きの数倍(2~4倍程度に設定されているものが多い)

申し込み単位は100円以上1円単位でも購入可能(商品や証券会社による)

ブル型とベア型の2つに大別される

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ブル型の特徴

基準とする指標が上昇したら基準価額が上昇し、基準とする指標が下降したら基準価額が下降します。

ブル(bull)とは牡牛のことです。

基準となる指標が上昇傾向のときには一層勢いよく基準価額が上昇する様を、牡牛がツノを突き上げる姿に見立てているそうです。

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ベア型の特徴

基準とする指標の日々の値動きの逆の値動きをします。

つまり、基準とする指標が上昇したら基準価額が下降し、基準とする指標が下降したら基準価額が上昇します。

ベア(bear)とは熊のことです。

基準となる指標が上昇傾向のときには一層勢いよく基準価額が下降する様を、熊がツメを振り下ろす姿に見立てているそうです。

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株の信用取引やFXのレバレッジ取引との違い

投資によっては手元資金を担保に、その資金の何倍もの価格の取引が可能となるものもあります。

このような取引の手法を”レバレッジを効かせる”とか”レバレッジをかける”とか言います。

代表的なものに

株の信用取引

FXのレバレッジ取引

があります。

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レバレッジ型投資信託の場合は”レバレッジ”とあるものの、基本的には手元の資金で可能な分までしか購入できませんし、保有している口数までしか売却できません。

つまり投資家自身は投資信託の売買にレバレッジを効かせることは出来ないわけです。

ここが株の信用取引やFXのレバレッジ取引とは異なる点です。

そのため、レバレッジ型投資信託の場合は損をしたとしてもその上限は購入した金額にとどまります。

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レバレッジ型投資信託の値動きの特徴

日経平均が3年後に10%上昇したらレバレッジ型投資信託(4.3倍ブル)は43%上昇で手っ取り早く資産が増えるゾ♪

だがちょっと待って欲しい、果たしてそうなのだろうか?

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そんな朝日新聞的な言い回しはともかく論より証拠。

実際の値動きを見てみましょう。

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こちらは日経平均株価の2017年8月~2020年8月までの3年間の値動きを示したグラフです。

赤いラインは2017年8月の株価を示しており、3年後の2020年8月の株価はそれを大きく上回ります。

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一方、こちらは日経平均株価の日々の値動きの4.3倍の値動きとなることを目指すある投資信託の基準価額の値動きを示したグラフです。

期間は先の日経平均と同じ2017年8月~2020年8月の3年間です。

赤いラインは2017年8月の基準価額を示していますが、3年後の2020年8月の基準価額はそれをわずかに上回る程度にとどまります。

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具体的に3年後の上昇の程度としては以下のようになりました。

日経平均株価 … + 18.0%

レバレッジ型投資信託(4.3倍ブル) … +9.8%

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4.3倍の値動きを目指すというなら、レバレッジ型投資信託は77.4%上昇しても良いような気がしますが実際は遥かにそれを下回りました。

それどころか、基準としていた日経平均株価の上昇の程度にすら及びません。

何故このようなことが起こるのでしょうか?

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これについては例題を考えると分かりやすいと思います。

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問題です。

日経平均株価が10,000円から10%低下しました。そこから元の価格に戻るには下落後の値段から何%上昇すれば良いでしょうか?

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「10%!!」と思った方はいませんか?

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正解は約11.1%です。

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10,000円から10%低下すると9,000円です。

次に9,000円を基準とすると10,000円に戻るには1,000円上昇する必要があります。

つまり、1,000円は9,000円の何%にあたるかを考えなければなりませんので

1,000円÷9,000円=11.1%

となります。

下落後の価格が新たな基準となる場合は、下落したときよりも高い割合で上昇しなければ元の価格には戻らないのです。

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さらにブル型投資信託(4.3倍ブル)を例にシミュレートしてみましょう

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仮に基準となる指標の価格が毎日、10,000円と9,000円との行ったり来たりを繰り返したとしましょう。

そして、その指標の日々の価格の変動の割合の4.3倍の値動きをするブル型投資信託があったすると、基準となる指標とブル型投資信託の値動きは以下のようになります。

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● 赤 :ブル型投資信託(4.3倍ブル)の基準価額

● 青 :投資信託が基準とする指標の価格

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ご覧の通り、基準となる指標が行ったり来たりを繰り返しているだけですが、ブル型投資信託は上下動を繰り返しつつも下降傾向であることが分かると思います。

これは投資信託の値動きが、基準となる指標の1日ごとの値動きの何倍と設定されているからです。

つまり、騰落率の分母が1日ごとに変化するためです。

このような数ヶ月や数年単位で見たときにある価格帯で行ったり来たりを繰り返すような相場では、レバレッジ型投資信託の基準価額は基準とする指標より上昇しにくいという特徴があります。

これがレバレッジ型投資信託への長期投資を考える際に最も注意すべき点です。

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ちなみにレバレッジ型投資信託への積み立て投資で、基準となる指標のインデックス型投資信託への積み立て投資よりも利益が見込めるのは以下のようなケースです。

基準となる指標は数ヶ月から数年単位で上昇傾向である(ブル型投資信託へ投資する場合)

基準となる指標は数ヶ月から数年単位で下降傾向である(ベア型投資信託へ投資する場合)

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私のレバレッジ型投資信託への投資の実際

レバレッジ型投資信託は長期投資をする際には注意が必要です。

それを承知の上で私は以下のことに留意してレバレッジ型投資信託の積み立て投資を2020年1月から2020年8月の現在まで続けています。

数ヶ月以上先まで右肩上がりと予想している指標を基準としているレバレッジ型投資信託に投資する

右肩上がりが期待できなければ保有するレバレッジ型投資信託の一部(状況によっては全部)を売却するつもりでいる

不測の事態に備えてお金を大きく損するのは怖いのでポイント投資のみにとどめている

ただし、ポイント投資で自信が付けばレバレッジ型投資信託への投資にお金を使うことも検討する

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ちなみにレバレッジ型投資信託への投資実績は以下の通りです

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※私の投資の実績であって、下記銘柄への投資を推奨するものではありません。投資信託への投資は元本割れのリスクもあります。投資はご自身のご判断に基き行うようお願い致します。

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投資期間:2020年1月1日~2020年8月17日(今後も継続予定)

投資方法:ポイントのみで投資(お金は一切投資しない)

証券会社:楽天証券

購入商品①:大和-iFreeレバレッジ S&P500

購入商品②:大和-iFreeレバレッジ NASDAQ100

それでは結果を見てみましょう~

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● 青 :合計投資額  ● 赤:評価額

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米国株は近年の上昇傾向が幸いし、8ヶ月間で大きくプラスになっています。

しかし、その米国株式市場もかつては30年間史上最高値を更新できなかった時期があったり、最近はダメダメと見られている日本株式市場は70年間以上右肩上がりだった時期が存在しました。

株式市場に絶対はないものと理解しています。

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米国株はここ数年史上最高値を更新し続けていますが、

近々、大統領選挙もあるので結果次第で傾向に変化がないか注目です

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まとめ

レバレッジ型投資信託に投資するときの注意点をまとめました

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レバレッジ型投資信託はブル型とベア型との2つに大別される

ブル型は基準となる指標の日々の値動きの数倍の変動をする

ベア型は基準となる指標の日々の値動きとは逆に数倍の変動をする

購入・売却はその他の投資信託と同様に100円以上で1円単位で売買可能

株の信用取引やFXのレバレッジ取引と異なり、手元の資金(あるいは保有口数)以上の売買は出来ない

基準となる指標の上昇傾向、または下降傾向が継続する場合にはレバレッジ型投資信託の基準価額の上昇率は、基準となる指標のインデックス型投資信託の基準価額を上回る可能性がある

基準となる指標の上昇傾向、または下降傾向が継続しない場合はレバレッジ型の投資信託の基準価額の上昇率は、基準となる指標のインデックス型投資信託の基準価格を下回る可能性がある

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レバレッジ型投資信託への投資は市場の動向をより慎重に見極める必要があります

ありがとうございました!!

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